今月の主題 免疫反応と臓器疾患
即時的過敏性反応
アナフィラキシス
山田 昭夫
1
1東京大学医学部・物療内科
pp.822-823
発行日 1985年5月10日
Published Date 1985/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219745
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アナフィラキシスとは,IgEを介した免疫現象の一つであり,抗原と接触した際に急激に発症する血管透過性の亢進による循環障害(ショック状態)と,急激な気管支の攣縮,咽頭浮腫などによる強度の気道狭窄(呼吸困難状態)を特徴とする.
アナフィラキシスの由来は1902年RichetとRortierの報告による.彼らはイヌでイソギンチャク毒素に対する抵抗性を作製する目的で実験を行った.まずイソギンチャク毒素を注射し,その毒素で死なかったイヌは,従来の知識より毒素に対する抵抗性を獲得していると考え,数日後に再び同じ毒素を注射したところ,毒素による症状とは異なる強い呼吸困難発作が出現し,イヌは喘ぎながら死亡したり,嘔吐,出血性下痢などの症状を起こした.彼らはこれを防御phylaxisの反対という意味でanaphylaxisと名付けた.その後,同様の現象が別の動物でも起こること,毒素に限らず異種蛋白の注射によっても惹起させることができることなどが示され,1906年にPirquetにより,これが抗原抗体反応によって発症することが明らかにされた.
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