今月の主題 胆道疾患診療のトピックス
胆道疾患と他臓器疾患
胆・肝・膵の相互相関
中野 哲
1
,
磯谷 正敏
2
1大垣市民病院・消化器科
2大垣市民病院・外科
pp.668-669
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219714
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肝臓,胆道,膵臓は,解剖,生理の面,臨床面のいずれにおいても密接な関係を有している.肝細胞に端を発した胆汁は,胆管を経て途中で胆嚢で濃縮され,膵頭部を貫いて十二指腸に膵液とともに分泌される.これら胆汁,膵液の分泌は,十二指腸粘膜から分泌されるセクレチン,CCK/PZ,ガストリンなどの消化管ホルモンにより統御され,また十二指腸粘膜と密接な関係を有する膵ラ氏島からはインスリン,グルカゴンなどの膵分泌ホルモンが分泌され,糖代謝や肝の発育に関与している.
臨床的には胆石などの胆道疾患は肝障害や膵障害を惹起する1)し,劇症肝炎や肝硬変などの高度の肝疾患では膵に病変を惹起する2).また逆に,膵全摘で脂肪肝が生じるように,膵障害時には肝や胆道系に障害を起こすこともある.
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