臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅰ.尿検査
9.尿アセトン体
斉藤 正行
1
,
上原 一之
1
Masayuki Saito
1
,
Kazuyuki Uehara
1
1北里大学医学部・臨床病理学
pp.2098-2099
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219330
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ケトン体(アセトン体)とは,アセト酢酸,アセトン,βハイドロキシ酪酸の総称で,強酸性の物質である.アセト酢酸は組織内で脱水素酵素により還元されるとβハイドロキシ酪酸となり,非酵素的に脱炭酸されるとアセトンに変わる.アセト酢酸とβハイドロキシ酪酸を分別定量している施設もあるが,一般に両者は1:3の割合で存在し,ほぼ平行して変動するために,検出の容易なアセト酢酸の半定量が臨床的には多用されている.
アセト酢酸は脂肪酸の生体内酸化の中間代謝産物で,とくに肝において脂肪酸からアセトアセチルCoAを経て生合成され,エネルギー源の一部となっており,正常人でも少量存在する.しかし表のごとく,なんらかの機転で糖質の不足,または糖質の酸化に障害が生じ(利用障害),TCA回路が回転しなくなるとエネルギー供給源を脂肪に求めるようになり,肝でのアセト酢酸の合成が亢進する.糖尿病性ケトアシドーシスの場合は正常の数十倍から数百倍に増加する.
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