今月の主題 下痢と腸疾患
最近の下痢の特徴
松永 藤雄
1,2
Fujio Matsunaga
1,2
1東京都立駒込病院
2弘前大学
pp.1350-1351
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219155
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下痢問題の回顧
医師になって半世紀に垂んとする筆者は,消化管専門の臨床で下痢の問題にかかわってもう40年になろうとしている.第二次世界大戦の終戦前後には原虫性下痢症や戦争栄養失調症などが主題目であった.大陸との交通によって前者のアメーバやヂアルジヤなどを検鏡して把えて興味をわかしたが,後者は補給不能の第一線戦地に多いこととて,銃後にそれを診る戦後までは,われわれの臨床とはならなかった.
かつて机を並べて研究をともにした渡辺海軍軍医中佐を頼り,軍属として現地研究を願ったが,すでに潜水艦艇も通わず,戦闘機に便乗を乞う以外に途のないことを知らされた.思えば戦地をあまりに甘く考え,現地に着けば何か役に立てると思い上った私の稚気が恥かしかった.
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