連載 Medical Scope
新しい糖尿病妊婦の管理
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.280
発行日 1975年5月25日
Published Date 1975/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204862
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糖尿病が妊婦の合併疾患として非常に大切なものであるということは,よく知られています。インスリンが発見される以前には,糖尿病妊婦は母体が25%の死亡率を示し,胎児にいたってはその半数の50%が子官内死亡になっていたといわれています。それがインスリンが治療に用いられ,産科管理が徹底するにつれ,今日では母体死亡はまず0になり,胎児死亡もほとんどなくなってきました。
糖尿病の女性が妊娠すると胎児は巨大児となり,妊娠週数に比して大きないわゆるLFD児が出生します。したがって,分娩時に難産になりやすく,母体の出血が多いなどのリスクに加えて,出生した巨大児も仮死になりやすく,仮死からひきつづく呼吸障害での死亡も多くなります。また,出生後,この新生児は低血糖症となり,これでも呼吸障害や,けいれんなどを起こし死亡することもあります。血糖値が0なんていうことも時々あるのです。そして,糖尿病母体より出生した新生児は,体重は大きくても特発性呼吸障害症候群,IRDS,つまり,肺硝子膜症になりやすいという特徴をもっているので,出生しても非常に多くの障害が生存するためには待っているということになります。
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