講座 Oncology・5
抗腫瘍剤—Ⅲ.抗腫瘍性抗生物質(1)
北原 光夫
1,2
Mitsuo Kitahara
1,2
1東京都済生会中央病院・内科
2慶応義塾大学医学部・内科
pp.951-955
発行日 1984年5月10日
Published Date 1984/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219047
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Doxorubicin,Daunorubicin
最近の癌の化学療法における最も重要な進歩は,anthracycline系の誘導体であるdoxorubicin(adriamycin)とdaunorubicin(daunomycin)の開発であろう.これらの抗腫瘍剤は真菌であるStreptomyces Peucetius var,caesiusの生産物であり,赤い色をもっている.このグループに属する抗腫瘍剤は,アミノ配糖体構造とダウノサミン(daunosamine)の結合体である(図).
doxorubicinとdaunorubicinの構造上の相違は,R2がdoxorubicinではCH2OHで,daunorubicinではCH3である.D環にはdaunosamineが結合しており,この構造が核酸の二重構造に入り込む(intercalation)うえで必要とされている.daunorubicinは急性白血病の治療にのみ使用されるが,doxorubicinはbroad spectrumの抗腫瘍剤で,白血病,リンパ腫,乳癌,軟部組織肉腫に対して有効性を示す.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.