今月の主題 新しい栄養療法
経腸的高カロリー栄養法
合併症とその対策
荒井 泰道
1
,
関口 利和
2
Taido Arai
1
,
Toshikazu Sekiguchi
2
1伊勢崎市民病院・内科
2群馬大学医学部・第1内科
pp.54-55
発行日 1984年1月10日
Published Date 1984/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218854
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Elemental diet(ED,成分栄養)は,ほとんど消化を必要とせず,上部消化管でほぼそのまま吸収される,化学的に組成の明確な成分からなる(chemically defined)dietのことである.従来,EDは主に術前,術後の栄養管理に用いられてきたが,そのすぐれた吸収性と無残渣性,低脂肪,消化液分泌に対する低い刺激性1)などの特徴から,内科領域にも適応が拡大されつつある.筆者らも脳血管障害による嚥下困難や意識障害患者,炎症性腸疾患への腸管安静,膵炎患者の膵安静などを目的としてEDを施行し,良好な結果を得,その成績をすでに報告した2).
しかし,EDは経静脈栄養法(IVH)に比較して敗血症などの合併症の心配がないとはいえ,管理をおろそかにすると副作用,合併症を招来し,続行は困難となる.今回はすでに報告した成績にその後経験した症例を加えて,とくに副作用と合併症について述べる.対象とした症例は,脳血管障害14例,クローン病6例,膵炎6例,吸収不良症候群3例,その他5例の計35例であった.投与法は経鼻カテーテル投与32例,経口投与3例であり,副作用発現例を表に示した.
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