臨時増刊特集 問題となるケースの治療のポイント
IV.循環器疾患
いつまで服用すべきか
87.不整脈治療薬
博田 定
1,2,3
Tei Hakuta
1,2,3
1前田橋循環器クリニック
2横浜市立大学第2内科
3東京大学第1内科
pp.2270-2272
発行日 1983年12月1日
Published Date 1983/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218628
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症例
72歳女性.19歳の頃から,①日常のちょっとした動作が引金になって突然発作性の動悸がおこり,発作は6時間以上も続くことが多かったが,便所にいくとか,何らかの動作がきっかけで突然動悸が止まることをくり返していた.②発作中は恐怖感で冷汗をかき,疲労感,脱力感,ふらふら感があり,静かに座ってじっと耐えた.静臥すると余計に苦しくなり,息切れがした.③発作は週2〜3回が多かったが,60歳以後連日となった,既往近医によりアジマリン(ギルリトマール®)の静注を受け発作が止まっていたが,だんだん無効になった.④間歇期には,ときおり,胸部にドキンとした感触があり,それも発作の契機になった.
67歳の時紹介により来院,爾後当院でfollowupしている.理学的検査で異常なく,血圧160/90mmHg,脈拍は正常で80/分,胸部X線で左室の軽度拡大と大動脈弓部の突出をみるほか異常はなかった.心電図所見は洞調律,脈拍数78/分,電気軸は+75°,PQ 0.19秒,QRSは狭小で,デルタ波はなく,非特異性のST-T異常が軽度にみられた.血算,血液生化学で異常なく,心エコー図も正常であった.
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