講座 図解病態のしくみ 神経・筋疾患・11
脊髄・脊椎疾患—解剖学的特徴と脊髄圧迫性疾患の病態,および脊髄の循環障害
大和田 隆
1
Takashi Ohwada
1
1北里大学医学部・脳神経外科
pp.2025-2031
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218539
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
病態像理解への解剖学的特徴
1)脊椎と脊髄の関係
他の臓器と異なり,脊髄は脊椎という強固な支持組織の中に温存されており,直接的外力は受けにくい.それは同じ中枢神経である脳においてもいえることであるが,頭蓋骨はstaticであるのに反して,脊椎はdynamicな要素が多い.椎間板ヘルニアや頚部脊椎症に代表されるmyelopathy,radiculopathyの神経症状は,脊髄の容器であるところの脊椎の変化が原因で出現しうる.
疾患によって脊椎から脊髄に対して障害がおよぶとき,その神経症状(myotomeやdermatomeなど)から障害部位の高位診断を行うと,実際の脊髄障害のある高さとは下部頚髄以下では一致しない.これは,下部頚髄以下では脊椎の高さと脊髄の髄節の高さが一致していないことによる(図1A)・この脊椎と脊髄の高位レベルの関係は重要な点であり,成人の脊髄円錐は第1,2腰椎にて終わる.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.