今月の主題 各種病態における抗生物質の使い方
新しい抗生物質の理解のために
βラクタム系抗生物質
横田 健
1
Takeshi Yokota
1
1順天堂大学医学部・細菌学
pp.1922-1927
発行日 1983年11月10日
Published Date 1983/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218521
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現在,細菌感染症に対する化学療法の主役であるペニシリン類(PC)やセフェム系抗生物質(CEP)は,分子構造中にβラクタム環をもつのでβラクタム薬剤と総称される.これらのものは細菌細胞特有の細胞壁生合成を抑えて抗菌力をあらわすので,人体細胞では影響される代謝系を欠き,きわめて安全性が高い.また最初のペニシリンG(PCG)が発見されてから,すでに半世紀近い歳月が流れており,多くの研究の積み重ねから耐性菌にも効くような改良も行われている.すなわちβラクタム薬剤は安全で耐性菌対策の進んだ抗生物質として広く臨床に使われるとともに,最も進歩の著しいものであり,多数の誘導体が開発されつつある.本稿では,それを整理し,各誘導体の特徴から,正しい臨床での使い方を基礎の面から考えてみたい.
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