今月の主題 呼吸不全—その実態と治療
治療
気管切開のタイミング
佐川 弥之助
1,2
Yanosuke Sagawa
1,2
1京都大学結核胸部疾患研究所・臨床肺生理学部
2京都大学付属病院
pp.394-395
発行日 1983年3月10日
Published Date 1983/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218179
- 有料閲覧
- 文献概要
従来から,気管切開は緊急の救命処置あるいは急性,慢性の呼吸不全の際の有力な気道確保の手段として多用されてきた.しかし,現在では緊急時に時間がかかること,および合併症が多いことなどのために気管内挿管,とくに経鼻挿管にその地位をうばわれつつあり,呼吸不全の際にも原則として気管切開を行わないとする臨床家も多い.しかし,これは気管切開を緊急時の気道確保の手段として考えているためで,これを長期にわたる呼吸不全の呼吸管理の一つの方法であると考えると,その適応もおのずから定まるものと思われる.
また,気管切開術の施行も手術室で無菌的に気管内挿管下でゆっくりと時間をかけて行うことを原則とすべきであり,この原則を守るかぎり,その合併症は激減するものと思われる.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.