今月の主題 免疫からみた腸疾患
腸疾患の臨床
クローン病
小林 絢三
1
Kenzo Kobayashi
1
1大阪市立大学医学部・第3内科
pp.220-221
発行日 1983年2月10日
Published Date 1983/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218141
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クローン病は,潰瘍性大腸炎とともに特発性炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)と総称され,臨床的ならびに免疫学的追求がなされている.
本症においては,潰瘍性大腸炎と同様に関節炎,湿疹,枯草熱(hay fever),強直性脊椎炎(ankylosing spondylitis)などの腸管外合併症があり,さらに病変組織の浸潤細胞もリンパ球,形質細胞,マクロファージの有意の増加が指摘されていることから,両疾患の免疫異常との関わりは,病像からも十分推測される.しかし臨床的には,クローン病は食道から直腸まで全消化管にわたって発生し得,かつ非連続的病変(skip lesion),組織学的に全層性の炎症性変化ならびに非乾酪性の肉芽腫を持つなど,潰瘍性大腸炎と相違する点も多い.むしろ特異的炎症である腸結核と類似点が多く,臨床的に鑑別困難な症例が少なくない.
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