講座 図解病態のしくみ 臓器循環・4
肺循環—解剖,生理,病態のまとめ
須永 俊明
1
Toshiaki Sunaga
1
1佐賀医科大学・内科
pp.729-733
発行日 1982年4月10日
Published Date 1982/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217725
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右心室から出た静脈血が,肺動脈系を通って,肺毛細血管に移行して,肺胞において,肺胞気との間で,ガス交換を行って,動脈血となって,肺静脈,左房を通って,左室に入って大動脈系に入ってゆく.これが肺におけるガス交換による動脈血化であり,肺の最も重要な機能である(図2).
肺循環は,体循環と異なって,非常な特性を有している.それは,機能上からも考えられるように,(1)肺血管系の血管抵抗が小さい.(2)肺動静脈系では,動脈系に大量の血液を含んでいる.このために,動脈系の伸展性が大きく,収縮性が比較的少ない.(3)また伸展性が大きいことの他に,静水圧的な因子血流に大きい影響をあたえている.これらの循環上の特性を背景として,最も重要な機能であるガス交換による動脈血化を行っている.
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