今月の主題 内分泌疾患—今日の知識
境界領域
腫瘍マーカーとしてのホルモン
阿部 薫
1
Kaoru ABE
1
1国立がんセンター・内分泌部
pp.42-43
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217582
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腫瘍がホルモンを産生し,これを血中で測定することにより腫瘍の診断,治療効果の判定,すなわち腫瘍マーカー(tumor marker)として用いることは,最近におけるラジオインムノアッセイ(radioimmunoassay,RIA)の進歩により,臨床的に広く用いられている.このホルモンを腫瘍マーカーとして用いられることができる腫瘍には,内分泌腺の腫瘍と異所性ホルモン産生腫瘍とがある.
内分泌腺の腫瘍でホルモンを大量に産生するものでは,血中ホルモンは理想的な腫瘍マーカーである.しかし,異所性ホルモン産生腫瘍の場合には,異所性ホルモン症候群を呈するような症例では,血中ホルモンが腫瘍マーカーになり得るが,むしろ多くの例では,腫瘍マーカーとして用いることができないのが現状である,以下,内分泌腺の腫瘍と異所性ホルモン産生腫瘍に分けて述べてみる.
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