今月の主題 腹部エコー法の現況—癌診断を中心に
基礎知識
おとし穴
片倉 景義
1
Kageyoshi KATAKURA
1
1日立製作所中央研究所・第9部
pp.1138-1139
発行日 1981年7月10日
Published Date 1981/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217237
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超音波断層装置も,最近は生体組織描出のための改良が進み,実際の生体構造に相当近い超音波像が簡単に得られるようになってきている.このように,超音波により実用的な生体像が得られるようになった背景は,装置階調性の大幅な向上と,電子走査高速撮像化の双方が順次実現されてきたことによる.しかし,装置の階調性を向上することは,装置の小さな欠点を画面上に表示しやすくする方向であり,一方電子走査化は,これまでの手動接触複合走査法に比較して音響的虚像を出現させやすい方向である.このような相反する要求を両立させることは,装置規模が大きくなり困難である.
このため,現在の電子走査装置は,通常の使用部位については極力異常な虚像の出現が見られないように設計されていて,特殊な使用状況における現象は除外されている.このため,この設計性能は順次向上しつつあるが,使用装置の性能を越える場面においては種々の虚像が出現する可能性が考えられる.そこで,以下に,現在広く使用されている電子走査装置の代表的性能を基礎として,予想される虚像の形態について簡単に紹介する.
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