今月の主題 出血とその対策
血尿
カラーグラフ
血尿の鑑別検査
林 康之
1
Yasuyuki HAYASHI
1
1順天堂大学医学部・臨床病理学
pp.800-801
発行日 1981年5月10日
Published Date 1981/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217165
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赤色尿と血尿
患者のいう血尿は赤色調を帯びた尿であって血尿と確認されたわけではない.血尿の定義は至って簡単で,血液が病的に多量混入した尿ということになろう.多量とはどれくらいかが顕微鏡的血尿で論議の分かれるところであるが,肉眼的に血尿を疑わせるほど赤色調を示すのは尿1ml当たり50〜100万の赤血球濃度以上である.血液は,500万/μlであるから,約2,000倍の希釈が血尿,赤色尿と肉眼的に判定できる限度ということになる.
一方,赤血球以外の物質の混入で赤色調をきたす場合をあげると,血色素,ヘマチン,メトヘモグロビン,ポルフィリン体,食用色素,色素団形成薬剤の投与排出などである.薬剤のうちには,PSP,BSP,ピリジン色素のように鮮紅色を呈するものから,ピリン剤,サントニン,ラキサトール,クエン酸鉄ソルビトールのように橙色〜橙赤色色素団(錯塩の生成)を形成するものもある.またピリン剤その他の薬物で副作用として血尿を示すもの,血色素尿,ポルフィリン尿をきたす場合があるが,本稿は血尿(赤色尿)の鑑別法を示す目的なので血尿の原因,臨床には触れない.
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