神経放射線学
脳腫瘍(4)—後頭蓋窩腫瘍
吉川 宏起
1
,
前原 忠行
1
Koki YOSHIKAWA
1
,
Tadayuki MAEHARA
1
1東京大学医学部・放射線科
pp.309-316
発行日 1981年2月10日
Published Date 1981/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217053
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後頭蓋窩腫瘍を実質性(intra-axial)と実質外性(extra-axial)に大別し,それぞれの腫瘍における神経放射線学的診断法について述べる.診断を進めるに際して,腫瘍の組織型による発生頻度,発生部位,好発年齢を知ることは重要である.大略を簡単に述べると,後頭蓋窩腫瘍は成人では実質外性腫瘍が多く,小児では実質性腫瘍が多い.組織学的分類を行うと,実質性腫瘍には神経膠腫(星細胞腫,髄芽細胞腫,上衣細胞腫)が多く,実質外性腫瘍には神経鞘腫と髄膜腫の頻度が高い,これらの腫瘍の組織型とその発生母地にはある程度の相関性があり,これを模式的に表わすと表1のようになる.したがって多くの場合,種々の神経放射線検査を施行し,腫瘍の正確な局在診断が行われれば,鑑別すべき腫瘍の数は自然に絞られてくる.
なお本稿では,転移性腫瘍については省略している.CT像は単純撮影に合わせるため頭部を下方から見ている像にしてある.また各検査別に説明を加えたため,多少重複している箇所があることを最初に断っておく.
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