今月の主題 内科医に必要な脳神経外科の知識
脳神経外科はどう変わったか
北村 勝俊
1
Katsutoshi KITAMURA
1
1九州大学医学部付属脳神経病研究施設・外科
pp.2204-2205
発行日 1980年12月10日
Published Date 1980/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216939
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過去10年の間に脳神経外科に革命的な変化をもたらしたものは,診断面ではCT,治療面ではmicrosurgeryである.
1973年東京における国際脳神経外科学会に引き続き,京都ですでにmicrosurgeryのシンポジウムがもたれ,当時までの集大成が各国のパイオニアによって披露されたが,それに続く福岡での神経放射線シンポジウムでは,CTについての話題はまったく聞かれなかった.わずか7年前のことである.microsurgeryが徐々におこり始めたころは,"高々拡大鏡で見るだけのことではないか"という気持もあって,むしろ熟練を重ねた手術巧者のほうが冷笑する向きもあったように思われる.わが国だけでなく,欧米においてもそのような気風が感じられたのであるが,このような優れた脳神経外科医がいったん顕微鏡下の手術の味をしめると,逆に熱烈な推進者となって今日の隆盛に至ったように思われる.CTのほうはEMIによる臨床使用報告がAmbroseによりなされたのが1973年であるが,わが国の大学病院に相ついで輸入されるや,まさに燎原の火のごとく普及し,CAT feverといわれながらも,最近ではおそらく入口10万人に1台以上保有し,なおもふえ続けている現状である.
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