臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XIV.女性性器疾患
付属器腫瘍茎捻転 VS 腸閉塞
大内 広子
1
Hiroko OUCHI
1
1東京女子医科大学・産婦人科
pp.2172-2173
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216927
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なぜ鑑別が問題となるか
この両疾患は,激しい腹痛と腹膜刺激症状を起こし,ショック症状を現わし,緊急手術を必要とする急性腹症のことが多く,早期に適切な鑑別診断をつけ,治療を婦人科側,または外科側で施行する.ときには定型的症状を示さず,発症時に軽度の下腹痛を訴えていたが,徐々に腹膜刺激症状が増強し,処置の時期を失することがあるので,診断の確定を急ぐ必要がある.
付属器腫瘍茎捻転は卵巣腫瘍,卵管溜水腫などが存在したときに起こるが,多くは可動性有茎卵巣嚢腫に発症し,その頻度は約10%である.捻転が起こると,まず茎内を走行する静脈の血行障害が生じ,腫瘍内に出血,時の経過とともに壊死,二次感染,腫瘍の破裂などをみ,腹腔内出血をきたし,重篤な状態をひき起こす.卵巣腫瘍の茎捻転は診断決定と同時に手術を施行する.
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