臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XIV.女性性器疾患
妊娠悪阻 VS 脳腫瘍
駒谷 美津男
1
,
須川 佶
1
Mitsuo KOMATANI
1
,
Tadashi SUGAWA
1
1大阪市立大学医学部・産科婦人科
pp.2150-2151
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216916
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なぜ鑑別が問題となるか
妊娠と脳腫瘍の合併はきわめて稀ではあるが,絨毛癌のごとき脳転移をきたすものや,妊娠によって再発することがある下垂体腺腫,さらには増悪傾向のみられる髄膜腫,血管腫,神経線維腫など,脳腫瘍合併例においては早期診断および治療が必要となることがある.そして一般に妊娠初期においては,悪心や嘔吐が多くの妊婦に発現し,重篤になると妊娠悪阻という状態になることがある.したがって,妊娠初期にみられる悪阻症状としての頑固な嘔吐が妊婦に発現した場合,それが脳腫瘍による頭蓋内圧亢進症状である可能性も考慮し,両者の鑑別が必要となる.
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