臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
XII.精神疾患
ループス精神病 VS ステロイド精神病
原田 憲一
1
Ken-ichi HARADA
1
1信州大学医学部・精神医学
pp.2118-2119
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216902
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なぜ鑑別が問題となるか
ループス精神病は全身性エリテマトーデスの中枢神経症状である.稀に精神症状が,エリテマトーデスの身体症状に先行することがあるが,たいていは全身性エリテマトーデスの経過中に精神症状が現れてくる.したがって精神症状を示したエリテマトーデスの患者はほとんど常に治療として,すでにステロイド剤を投与されている.ステロイド剤を服用している人に精神症状が現れたとき,その精神症状はループス精神病なのか,ステロイド惹起性精神病なのかの鑑別が求められる.
その上,ループス精神病とステロイド精神病とでは,治療方針が逆になる.後者ならステロイドを中止あるいは減量したいし,前者ならその必要はなく,むしろ増量が精神症状にも有益でありうる.両者の臨床鑑別が緊要な所以である.
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