臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
VII.神経・筋疾患
重症筋無力症 VS 筋無力症様症候群
古和 久幸
1
Hisayuki KOWA
1
1北里大学医学部・内科
pp.2018-2019
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216858
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定義
重症筋無力症は胸腺腫または胸腺の異常を伴った"筋無力症状"を臨床的または電気生理学的に示す疾患で,自己免疫疾患の1つとされている1).一方,易疲労性,筋脱力など重症筋無力症の臨床的特徴は,悪性腫瘍,内分泌疾患,他の自己免疫疾患でもみられ,これらの臨床像の総称として筋無力症様症候群(広義)と呼ぶことがある.しかし,筋無力症様症候群は悪性腫瘍,とくに小細胞性気管支癌に合併する筋無力症で,特異な電気生理学的所見を示すものに限定して使用されている場合が少なくない(Eaton-Lambert症候群).このように筋無力症様症候群はEaton-Lambert症候群の同義語ではないが,ここでは臨床上問題となるEaton-Lambert症候群との対比について述べることとする.
重症筋無力症(以下MG)とEaton-Lambert症候群(以下E-L症候群)はともに易疲労性と筋脱力を主徴候とし,神経筋接合部異常による病態であるが,臨床上治療薬剤に対する反応性,生命予後の点で異なる.また,E-L症候群では,しばしば原病の診断に先行して現れる場合もあり,臨床診断上も重要である.
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