病気のはなし
ヘモクロマトーシス
荒川 泰行
1
,
森山 光彦
1
,
田中 直英
1
1日本大学医学部第3内科
pp.1000-1006
発行日 2000年7月1日
Published Date 2000/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905544
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新しい知見
遺伝性(原発性)ヘモクロマトーシスの診断の進めかたは,遺伝子時代を反映して様変わりをしてきている.主要症状と血清鉄代謝マーカーでのスクリーニング検査からヘモクロマトーシスが疑われた場合,肝生検で肝実質細胞に鉄の過剰沈着を確認するとともに,肝生検材料で鉄を定量することが必要である.遺伝性と二次性の鑑別には,hepatic iron index(肝組織鉄量micromole/g乾燥肝÷年齢)が有用で,遺伝性ではhepatic iron indexは2.0を超えるが,二次性およびヘテロ接合体では超えない.さらに最近はHFE遺伝子解析が可能になり,欧米ではC282Yホモ接合体が80〜95%,C282Y/H63Dヘテロ接合体が5%前後,H63Dホモ接合体が1%程度の頻度で認められている.HFE蛋白の消化管での鉄吸収調節機構は不明であるがβ2-ミクログロブリンの関与が指摘されている.β2-ミクログロブリンおよびHFE蛋白のノックアウトマウスではヘモクロマトーシス類似の所見を呈することが報告されている.
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