臨時増刊特集 これだけは知っておきたい診断のポイント
III.消化管疾患
大腸憩室症 VS 過敏性大腸症候群
矢沢 知海
1
Chikai YAZAWA
1
1東京都立広尾病院
pp.1906-1907
発行日 1980年11月20日
Published Date 1980/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216808
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なぜ鑑別が問題となるか
大腸憩室症にも合併症のないものから,いわゆる憩室炎,穿孔,狭窄などを合併するものなどがあり,また,右側結腸憩室,左側結腸憩室では症状も異なり一様に取り扱うことは無理である.さらに過敏性大腸症候群(以下,過敏性大腸と略す)も便通異常の状態によって3型に分けられ,
1)不安定型:腹痛そのほかの腹部症状と便秘,下痢の交代または便秘を訴え,主として痙攣性便秘
2)慢性下痢型:持続的または間歇的な下痢や軟便を訴える神経性下痢
3)分泌型:多量の非炎症性粘液を排出する.
典型例では便秘についで激しい腹痛,ついで大量の粘液を排出し便秘に傾くmucous colitisなどあり一様ではない.そこで,これらを細分し比較することは不可能であるので総括的に述べることとする.
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