今月の主題 最近の腎疾患の基礎と臨床
腎疾患の病態
間質性腎炎
酒井 紀
1
,
御手洗 哲也
2
Osamu SAKAI
1
,
Tetsuya MITARAI
2
1東京慈恵会医科大学・第二内科
2東京慈恵会医科大学・内科
pp.506-509
発行日 1980年4月10日
Published Date 1980/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216473
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はじめに
間質性腎炎は糸球体腎炎に対応する疾患概念であり,そのおもな病変は腎間質にある.形態学的には腎間質に炎症性細胞浸潤,浮腫,線維化がみられ,多くの場合,尿細管の変性,萎縮,壊死などの所見も伴っている。このような病変部では,尿細管病変が,さきに起こるのか,間質性病変がさきに起こるのか,あるいは同時に起こってくるものなのかはっきりしない場合が多く,命名法に混乱がみられる.しかし最近では,糸球体を病変の場とするglomerular diseaseという言葉に対し,tubulointerstitial diseaseがよく用いられるようになってきている.このような尿細管・間質病変は,腎の非特異的反応形態の一つであり,種々の化学的,細菌学的,免疫学的および生理学的原因に基づく,いくつかの異なった病因的機構によって発症するものと考えられている.
一般に間質性腎炎は急性間質性腎炎と慢性間質性腎炎に区別され,表のごとく種々の病態が含まれている.ここではおのおのの代表的疾患について,その病態の概要と,最近注目される2,3の知見を述べる.
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