今月の主題 血管炎とその臨床
血管炎の成因
ウイルス抗原と血管炎
吉木 敬
1
1市立札幌病院病理
pp.2094-2098
発行日 1979年11月10日
Published Date 1979/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216288
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
実験的に血清病やArthus現象の免疫学的発症機序の解明が進み,壊死性血管炎における免疫複合体の病因的役割が指摘されている.一方,壊死性血管炎とウイルス感染との関係はミンクのAleutian病,マウスではヒトSLEの自然発生モデルであるNew Zealand(NZ)マウス,ヒト結節性多発性動脈炎(PN)のモデル動物であるSL/Niマウス,LCMウイルス感染マウスなどで次第に明らかとなっている.血管炎の病因としてのウイルス感染はウイルスまたはウイルス抗原が宿主の免疫応答を介して免疫複合体を形成し,この免疫複合体が血管壁に沈着して血管炎を発生させる場合や,後述するようにSL/Niマウスの場合の血管壁中膜平滑筋に発現されるウイルスが血管炎発症に病因的役割を演ずる場合がある.
ここでは,筆者らが従来から研究を進めてきたNZマウス,SL/Niマウスの壊死性血管炎における内因性C型ウイルスの病因的役割について述べ,ヒト壊死性血管炎の発生機序を考えてみたい.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.