今月の主題 胃癌とその周辺
胃癌とまぎらわしい疾患
胃のReactive lymphoid hyperplasia(RLH)
勝又 伴栄
1
,
岡部 治弥
1
1北里大内科
pp.696-700
発行日 1979年5月10日
Published Date 1979/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215879
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はじめに
臨床的に胃癌との鑑別が問題となる病変の一つとして胃のreactive lymphoid hyperplasia(RLH)(SmithおよびHelwig)がある.これはKonjetzny(1938)が臨床的,X線学的に胃癌とまぎらわしい像を呈するchronischen hypertrophischen Gastritisの一型として取りあげたことに始まり,その後SmithおよびHelwig(1958)1)は本病変が病理組織学的に胃の悪性リンパ腫と鑑別がむずかしい点を指摘して以来,その重要性が再認識された.
わが国では中村(1966)2)らが本病態を紹介し,同時に6例の手術例を報告してからにわかに注目を集めるようになった.その後,多数の症例報告が相次いでいるが,わが国の進んだ胃X線,内視鏡の診断技術をもってしてもなおIIcやIIa+IIcなどの早期胃癌との鑑別がむずかしい例も多く,問題となっている.術前診断で胃癌とされたものはPerez(1966)3)は46%に,また高木(1973)4)は本邦報告例116例を分析して61%に認めたように,いかに胃癌とまぎらわしい病変であるかがわかる.
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