今月の主題 パーキンソン病とその周辺
パーキンソン病の臨床
精神症状
原田 憲一
1
1信州大精神医学
pp.190-191
発行日 1979年2月10日
Published Date 1979/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402215751
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パーキンソン病の3精神症状
パーキンソン病(paralysis agitans)のときいろいろの精神症状があらわれることは,以前から知られていた.筆者はここに,パーキンソン病の精神症状として抑うつ気分,せん妄,痴呆の3つを,その主なものとしてとりあげたい.
抑うつ気分 最もしばしばみられる精神症状である.その出現頻度は,報告によって大きな差がある.90%の患者にみられたという人1)もいるし,10%を算した人2)もいる.この大きい差異は,軽度の気分変調をどこまで異常としてとるかの基準が人によって異なるからであろう.また,神経学的なアキネジアと,心的な自発性減退,抑うつ性意欲減弱とをていねいに区別することが大事だが,それがどの程度なされているかも問題であろう.心的な自発性や関心はよく保たれているのに,神経学的症状の故に,行動するのがどうも面倒だという事態は,パーキンソン病患者には非常に多いはずである.このような配慮を十分した上で,なおかつ精神医学的に何らかの対処を必要とするほどの抑うつ状態は,筆者の経験では決してそれほど多くはない.
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