ここにも医療あり
「悩み多き性」の相談役—日赤医療センターのカウンセリング・サービス
野末 源一
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1日赤医療センター婦人科
pp.1490-1491
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207425
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●セックス・カウンセリングとは
「私は12歳頃からマスターベーションをしていて,現在はもう29歳になります.1週間に平均3回として,1年間で156回,それを18年間くり返しているのですから,2800回以上確実にマスターベーションをしたことになります.もう子種がなくなってしまっているのに違いありません.このことを考えると結婚する気にはなりません.」よく計算をしたものである.日本だけでなくアメリカでも"drying up the seed"と同じような表現をする性の悩みは,マスターベーションの悩みの中で,多いものの一つである.このようなマスターベーションの悩みから始まり,各年代を通じて,いろいろな性の悩みが非常に多いのにはびっくりする.
このようなセックスの悩みをよく聞いてあげることは,大変必要なことだと思う.また話を聞くだけではなくて,実際に診察をしたり精液を検査をしたりして,客観的な事実を提示することも,それに劣らず必要なことである.以前には,産婦人科の外来で,おりものが多いとか,かゆみがあるとかという主訴で来院した患者さんとよく話をすると,その本来の来院の目的は性の悩みであることがわかったりするが,それはむしろ陰質的な感じがする.セックス・カウンセリングと銘を打った診療科に入ると,恥ずかしさも消えて,気軽に話をするようになるらしい.
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