今月の主題 高血圧の問題点と最近の治療
高血圧の治療
カルシウム拮抗剤
蔵本 築
1
,
桑島 巌
2
1東京都養育院付属病院
2東京都養育院付属病院内科
pp.1406-1407
発行日 1977年10月10日
Published Date 1977/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207403
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はじめに
高血圧の発症,維持にNaが重要な役割を果たしていることは周知のことであるが,近年Caの意義が検討され,SHRの心血管系にNa, Ca含量の増加していること,DOCA高血圧においてもCaが急性期,慢性期を通じて上昇していることから,Caが高血圧の発症および維持に関与することが示唆されている1).平滑筋の収縮は骨格筋や心筋と同様,細胞内Caイオン濃度の増加によって起こり,これには細胞外から入ってくるCaと細胞内貯蔵部位である筋小胞体から遊離されるCaの関与が考えられている.また,細胞膜の興奮性についても,骨格筋ではNaイオンの細胞内への流入によって活動電位を発生させるが,平滑筋ではNaイオンの流入のみでなくCaイオンの役割も大きいと考えられている2).したがって,Ca拮抗剤が心筋収縮力抑制,冠血管拡張による抗狭心症作用と同様に末梢血管を拡張して,降圧作用を示すことは薬理学的にも十分推定されることであるが,事実,いくつかのCa拮抗剤で著明な降圧作用のあることが報告されている.
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