診断基準とその使い方
先天性免疫不全症候群
早川 浩
1
1東大分院小児科
pp.885-889
発行日 1977年6月10日
Published Date 1977/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207250
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先天性免疫不全症候群は単一の疾患ではなく,それぞれ独立した性格をもったいろいろな疾患の総称であり,したがって,その診断基準もおのおのの疾患に独自のものがあるので,これらをすべて解説しつくすことは許された誌面ではとうていできない.ここでは厚生省特定疾患調査研究班「免疫不全症候群」(小林登班長)において試みたこれらの疾患の診断基準1)を中心に簡単に解説し,おのおのの疾患における診断上の最近の問題点を要約してみたい1〜3).
さて,先天性免疫不全症候群とは免疫反応を遂行する因子の一次的な異常により,主として感染に対する生体防御反応の不全である状態をいう1).この概念は比較的広義の概念であり,欧米でいうところのprimary immunodeficiency diseaseが主としてリンパ球系の異常による疾患に限定されているのに対し,好中球系,補体系などの先天異常による疾患も含めて考えている.このうち,primary immunodeficiency diseasesと称せられるものは表1に示したような種類に分類することが最もよく知られている.この分類はWHO推薦によるもので,免疫細胞の状態と遺伝型式とから特徴を示している.
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