今月の主題 消化器癌のトピックス
胃癌
残された胃癌—スキルス
病理学的立場よりみたスキルス(Borrrmann 4型癌)について
下田 忠和
1
1慈恵医大・第2病理
pp.186-187
発行日 1977年2月10日
Published Date 1977/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207059
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胃癌の診断技術の向上により早期胃癌の発見は容易になされるようになった.また,早期胃癌の手術による5年生存率も85~90%が期待でき,とくに粘膜内早期胃癌はほぼ100%の5年生存率が得られるようになった.しかし,一方では進行癌の頻度は発見される全胃癌の80%を占めているのが現状である.進行癌の中でもスキルス(Borrmann 4型癌)はとくに予後の悪い癌であり,最後まで臨床的,病理学的に種々の問題点の残された癌であると思われる.このBorrmann 4型癌は臨床的に発見されたときにはすでに手術不可能のことも多く,今までは非常に経過の早い癌といわれてきた.また,たとえ手術可能であっても前述したようにその予後は極めて悪いものである.このようなBorrmann 4型癌の成り立ちに関する研究は従来ほとんど行われていなかった.臨床的に良性潰瘍あるいは異常なしとされた患者が1~2年後には手術不可能なBorrmann 4型癌に急激な変化をきたすことは多く経験されてきた.このような急激な変化はなぜ起こるのか,病理学的な立場より述べ,さらに今後残されたスキルス(Borrmann 4型癌)の問題点について簡単に触れることにする.
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