今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床
検査(カラーグラフ)
腹腔内のマクロファージとリンパ球
太田 宏
1
,
下方 薫
2
1社会保険中京病院血液内科
2名大無菌研
pp.1219-1220
発行日 1976年9月10日
Published Date 1976/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206731
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腹腔内に存在する単核球の起源については,血液単球由来とする説や大網乳斑で産生されるなど,多くの議論があった.さらに,単核球がすべてマクロファージというべきものであるのか,リンパ球がどの程度存在するのかについても確定した結果が得られなかった.
近時,放射性同位元素を用いた細胞動態の研究,酵素化学反応を併用した超微構造(とくにペルオキシダーゼ反応を併用した電顕的観察)所見,細胞表面マーカーを利用した細胞の同定法などが発達し,これらの問題に新しいアプローチの方法が開かれたが,この稿では非刺激状態においてマウス(C3H/He)腹腔単核細胞の中で約半数を占めるリンパ球様細胞の多くが貪食可能なマクロファージに成熟し,リンパ球そのものはごくわずかしか存在しないことを述べる.
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