演習・X線診断学 消化管X線写真による読影のコツ・6
食道のX線検査について
熊倉 賢二
1
,
田中 満
1
,
小須田 茂
1
1慶大放射線診断部
pp.835-843
発行日 1976年6月10日
Published Date 1976/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206613
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食道のX線検査は,胃のX線検査に先だって行われるのが普通です.既にルーチン検査の項で述べたように,立位で造影剤を飲ませるだけの検査でしたら非常に簡単です.しかし,食道全体のよい写真をとって,微細病変までも診断するとなると,いろいろ問題がおきてきます.そのうち最も根本的な問題は,造影剤の通過が早いということです.立位で嚥下された造影剤は数秒後には噴門を通過してしまいます.造影剤にしても,空気にしても,ためておくことができません.頸部食道ではとくに早く,ほとんど瞬問的です.そのため,撮影するチャンスがごく短くなります.この短いシャッター・チャンスをどのようにしてうまくとらえるかが問題です.
食道の検査法には,充盈法,二重造影法,粘膜法がありますが,他の消化管と同様に,微細病変をあらわすのには二重造影法が最適だと考えられています.そのためには,次のような方法があります.立位での検査です.
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