Japanese
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診療指針
利尿剤の使い方
The Clinical Use of Diuretics.
小林 快三
1
Kaizo KOBAYASHI
1
1名古屋大学医学部宇佐美内科
1Medical Clinic of Medical Faculty of Nagoya University
pp.18-25
発行日 1955年1月15日
Published Date 1955/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200195
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はじめに
利尿剤とは一口に云えば尿量を増加する藥剤であるが,同時に尿成分の増加をも併せた意味をもつている。利尿剤の主な使用目的が腎を通つて"体内に貯溜した過剰な水分(浮腫)"を除去するためであるので,利尿剤を合理的に使用するに当つては必然的に次の条件を念頭におかねばならぬ。即ち(1)浮腫の原因,種類と(2)利尿剤の作用機転であり,一歩進んでは(3)腎機能は健全であるや否やと(4)利尿剤の適応,禁忌,副作用等である。それ故に先ず浮腫及び乏尿患者の臨床症状及びその臨床検査成績より浮腫,乏尿の原因,種類を追究し,特に腎機能の健否を確かめてからこれらに応じて適確な藥剤を用うる事が最も望ましく,かくすれば著効をおさめるのは常識的にも判断出来るであろう。
利尿剤は種類により侵襲点が異なつている。例えば組織に作用し細胞内外に貯溜した水分や塩分を血中に移動し,或は心臓血管系に働いて全身循環を改善させ,或は腎自体に働いてその水分,塩分排泄力を増進させるものなどがある。しかしこの様な侵襲点が何処であろうとも利尿剤の作用機転を腎機能の側からながめた時は尿量の増加は絲球体濾過の増加か尿細管の水分,塩分の再吸收抑制乃至阻害によつているのであり殊に尿細管機転が重要な因子となつている。この腎機能の概念より見れば利尿剤の主な作用は腎に対する直接作用と云えよう。
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