今月の主題 腎不全の病態と治療
腎不全の成因
糖尿病と腎不全
土屋 尚義
1
1千葉大第1内科
pp.462-463
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206498
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糖尿病性腎症は,臨床的に蛋白尿を指標とすれば全糖尿病症例の約20〜30%,生検例で約65〜90%と高頻度にみられる合併症である.しかも,原疾患の予後を左右する重要な因子をなし,死因統計上,従来の昏睡や感染症に代わって近年著しく増加した血管障害死の中で,腎死は全症例の約15〜20%と重要な地位を占めている.腎症は,糖尿病の罹病期間の延長とともに発症,緩徐ながら進行して,やがては腎不全に陥る症例がしばしばである.
腎症の病理組織学的変化は,びまん性および結節性糸球体硬化像を基本病変とし,多くの例で相関して細動脈性腎硬化症を伴う1).したがって,まずこの基本病変の成因について記し,次いで経過中にしばしば挿入され,付加的に腎障害を進行・悪化させる要因について述べることにする.
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