今月の主題 不整脈のハイライト
不整脈に対する救急処置
心臓手術後の不整脈
岩 喬
1
,
三崎 拓郎
1
1金沢大第1外科
pp.76-78
発行日 1976年1月10日
Published Date 1976/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206379
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
救急処置の原則
心臓手術後の不整脈は,極く軽度のものから,死につながる重篤なものまで種々の種類のものが多くの症例にみられる.これらの不整脈は低心拍出状態を惹起し,術後回復を遅延させるのみならず,症状を悪化させ,ときに致命的なものに進行することもあり,不整脈に対する救急処置としては確実,かつ,即効的な治療を行う必要がある.心臓手術後には,ほとんど常にジギタリスが使用されるし,とくに体外循環を使用した後は電解質pHの補正が行われる.これらはすべて術後の不整脈に対する治療となっている.また,不整脈の種類に応じて,抗不整脈剤が使用されるのは,手振に関係のない不整脈における内科的治療と同様である.実際,心臓手術後,種々の薬剤による不整脈療法が行われている.しかし,一般的に治療効果が速効的でなく,安定した効果を得られぬことがあり,しかも副作用を有するなど不都合な面がある.そこで教室では,ペーシング療法を第一選択とし,術中あらかじめ心房あるいは心室に縫着したワイヤーを利用して,術後ペーシングする方法をとり効果をあげている1,2).薬剤,電解質の投与が必要であれば,ペーシングと併用すればよい.また,不整脈が術後長期間継続,あるいは頻回に生ずる場合は,ペースメーカー植え込み,または高周波誘導型ペースメーカーの使用が考慮される3).これらペーシング療法は直流除細動とともに,容易,的確,しかも即効的に不整脈を制御できる4).
Copyright © 1976, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.