今月の主題 肺癌—その理解と対処のために
随伴症候群
電解質異常
山口 建
1
,
阿部 薫
1
1国立がんセンター・内分泌部
pp.1761-1763
発行日 1975年11月10日
Published Date 1975/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206287
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はじめに
悪性腫瘍患者では,時に重篤な電解質異常が発現することがあるこれは担癌患者が,電解質異常を起こしやすい種々の要因を兼ね備えていることが多いためと考えられる.胸・腹水の貯溜,経口摂取の低下,嘔吐,下痢の持続,強力な治療の影響などが,この要因としてあげられるが,さらに腫瘍からのホルモン様物質の産生分泌が原因となって起こる電解質異常も決して稀ではないと考えられる.軽度の電解質異常は,とくに明らかな臨床症状を呈さず,検査をしないと見過ごされることも多い.また逆に,高度の電解質異常で意識障害などをきたし,それが脳転移と誤診されることもある.一般にこのような電解質異常は,適切な治療を行えば可逆的なことも多く,これを是正することにより悪性腫瘍に対する治療も可能となり,著明な延命効果を認めることも稀ではない.
ここでは,肺癌患者に認められる電解質異常のうち,抵Na血症,高Ca血症,低K血症などについて述べてみたい.
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