今月の主題 感染症としてのB型肝炎
HB抗原・抗体の基礎
HBs抗原のsubtype
宮川 侑三
1
,
真弓 忠
2
1東大・第3内科
2自治医大・予防生態
pp.1620-1622
発行日 1975年10月10日
Published Date 1975/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206244
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日本国内はもとより,世界各国の同じ興味をもった人達と知り合いになれることは研究のもたらす大きなよろこびの1つである.Paul Holland(NIH,Blood Bank)はこの関係をfraternity(“同胞意識”とでもいったらよいのであろうか)という.実際にB型肝炎研究に携わってきた多くの世界の研究家が日本の諸研究groupと直接,間接に関係をもってきたし,何人かは日本を訪れた.HB抗原が大河内らによって発見され,肝炎との関係が明らかにされてから未だ日も浅いが,これが肝炎研究の歴史で大きな展開であったことを認めない人はいないであろう.日本における研究は,発見のいきさつと,国内の免疫学,臨床医学の高い水準が,HB抗原が西欧と比較して東洋で非常に得やすい事実によって増幅された結果,過去数年間に目ざましい進歩を遂げた.これが国内の各研究機関の密接な協力関係によって可能であったことはいうまでもないが,国境を越えたfraternityに負うところもまた少なくなかったと感ずるのである.
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