今月の主題 心身症からみた症候群
治療
薬物療法
伊藤 斉
1
1慶大精神神経科
pp.312-313
発行日 1975年3月10日
Published Date 1975/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205822
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はじめに
内科を初めとして各科領域の疾患のうちで,いわゆる心身症として挙げられている疾患の患者の数は非常に多い.カルテにこそ心身症という傷病名は書かれていないが,一般的な治療で症状改善をみなくて,発病から経過まで,心理的な因子が重要な意味をもっていると,主治医が幾度かの面接を通じて悟ることにあまりにもしばしば遭遇する.このような症例には精神療法的な治療的接近が試みられるが,患者側の心理的抵抗が強い場合もあろうし,また身体症状の占める比重が大きいため,やはり精神神経系に作用する薬物療法の助けが欲しくなることが多い.
事実毎月のレセプトをみていると,一般科的な診断に対する向精神薬の併用の頻度は非常に高くみられる.中には向精神薬それぞれの適応上,あるいは用法用量,副作用面の顧慮などの点でこの種の薬の専門領域からみて若干の問題のある場合もある.この点について,若干述べてみたい.
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