今月の主題 手術適応の問題点
特殊な状態における手術適応
心疾患のあるとき
太田 怜
1
1自衛隊中央病院・内科
pp.1300-1301
発行日 1974年10月10日
Published Date 1974/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205616
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NYHAのIV度と認められるようなうっ血性心不全や,心性ショックなどのときは,それ自身が致死的な状態なので,救急外科の必要な場合がたとえ生じたとしても,そのための手術を行なうことはできない,ただし,うっ血性心不全の原因として,左房内粘液腫の僧帽弁口嵌頓が考えられるとき,それを外科的に摘出すること,また,心性ショックのとき,その治療を目的として補助循環を行なうことなどのように,手術が上記の状態それ自身の治療に役立つ場合は別問題である.
一方,NYHAのI〜II度と判定されるものは,明らかな心疾患があったところで,日常生活の大抵の負荷には堪えられるので,今日の外科手術の条件下では,どのような手術も受けられる.III度のものは,緊急を要する手術以外のものはさけたほうがよいが,これとても,強心剤その他によって,心機能の維持に万全をはかれば,緊急手術を行なうことはできる.
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