今月の主題 新しい臓器相関のとらえ方
臓器相関からみた症候群
心脳卒中
藤井 潤
1
1朝日生命成人病研究所
pp.38-39
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205260
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最初の報告
心脳卒中とは元来は新鮮な心筋硬塞に伴う脳卒中様発作に対して与えられた名称である.沖中・村上ら1)は浴風会における臨床病理学的観察から,昭和28年(1953)第17回日本循環器学会総会で次のように報告した.
"老年者剖検376例に於て,心筋梗塞發作時の脳卒中様發作に就き,臨床病理学的に観察した.376例中19例に新鮮な心筋梗塞を認め,其8例に生前脳卒中様發作を来した.其内譯は脳出血1例,脳軟化4例,原因不明のもの3例である.一方新鮮な脳出血38例に1例,新鮮脳軟化症21例では4例(19.0%),原因不明の脳卒中様發作16例では3例(18.8%)に新鮮な心筋梗塞が認められた.即ち老年者の心筋梗塞時には高率に卒中様發作が認められ,出血乃至軟化による場合には軟化が多い.……従って心筋梗塞時の脳卒中發作は發作機転より(1)合併症としての脳血栓,脳塞栓による場合,(2)同時性の脳出血,(3)脳に卒中を説明するに足る所見のない3つの場合に大別出来,(2)の場合は稀である.此3者は何れも新鮮な心筋梗塞に伴う脳卒中發作で,臨床上特異な像を呈する為,心脳卒中症(Cardiocerebral apoplexy)と呼称したい."
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