特集 これだけは知っておきたい治療のポイント
IV 肝・胆・膵
8.膵炎
慢性膵炎の生活指導と治療
築山 義雄
1
1市立池田病院
pp.1730-1731
発行日 1973年11月20日
Published Date 1973/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205081
- 有料閲覧
- 文献概要
比較的短期間で完全治癒が可能な急性膵炎と全治の望みが少なく,経過の長い慢性膵炎とは生活指導,治療といった面でもはっきり区別して取り扱う必要がある.急性膵炎は徹底的に治療し,厳重な病後管理を行ない,後に障害が残らないように治癒せしめることが大切であるが,慢性膵炎の場合には増悪を防いで病状を安定させるようにする.そしていたずらに長く入院させたり,きびしい療養を指導して社会復帰をおくらせてはならない、多少の障害があってもできるだけ職場に復帰せしめ,大きい不自由なしに生活を楽しませるといった配慮が必要である,一般に急性膵炎の場合に緩に過ぎ,慢性膵炎の場合に漫然ときびしい制限をする傾向があるのは戒しむべきことである.
慢性膵炎という病名が意味する概念のなかには軽重の程度,病期,病態がいろいろなものがあるので,これらを一律に取り扱うことはできない.急性再発ないし増悪期には急性膵炎に準じた治療が必要であるが,これは本文の主題ではないので,以下主として慢性安定期ないしそれに近い状態の場合についてのべる.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.