診療相談室
いわゆるトランスアミニーチスと急性肝炎の無黄疸例との鑑別診断について
上野 幸久
1
1三宿病院
pp.924
発行日 1973年7月10日
Published Date 1973/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204830
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質問 いわゆるトランスアミニーチス(Transaminitis)と急性肝炎の無黄疽例との鑑別診断について,三宿病院の上野幸久先生にご解答願います.(横浜市 48歳)
答 急性肝炎の経過後,血清ビリルビンその他の常用肝機能検査の成績が全く正常化してからもGOT,GPTの軽度異常値(100 Karmen単位以下)だけがかなり長く持続することがあります.これがはたして肝炎の遷延化を示すものか,あるいは無害ないわゆるDefektheilungとみなしてよいのか迷うことがまれでありません.このようなGOT,GPTだけの上昇のため,ときとして無用とも思われる長期にわたる安静を強いられることもあります.ま窪,急性肝炎の既往がなくとも,このような症例をみた場合,潜在性肝炎であるのか,他疾患による2次的肝障害であるのかが問題となります.Popperは1967年にこのようなトランスアミナーゼだけが高い,肝に明らかな病変を認めないものをTransaminitisと呼んで無害なものとしています.
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