今月の主題 消化管ホルモンの臨床
消化管ホルモンによる診断法
ガストリン・テスト
春日井 達造
1
,
伊藤 健
1
,
青木 勲
1
1愛知がんセンター・第1内科
pp.574-576
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204727
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胃液検査は胃液の採取法,試験食および試験飲料の相違によりEwald法,長与法,Ehrmann法,Katsch-Kalk法などが古くから行なわれ,その所見は診断上重視され,各種胃疾患の鑑別診断に応用されてきた.しかし,その後,胃生検の開発により胃粘膜の組織学的所見と胃分泌機能の対比が行なわれるようになり,両所見の間に不一致をみることがあり,とくに無酸症または低酸症とされたもののなかに相当数の壁細胞を証明することがしばしばあり,従来の刺激が胃粘膜に存在する壁細胞のすべてを刺激するに至らなかったことが指摘され,Kayによるaugmented histamine test1)の提唱となった.本法はparietal cell massを反映し,再現性のすぐれた点は高く評価されるが,副作用の点で一般臨床に広く利用されてきたとはいえなかった.
1964年Gregoryら2)は豚の幽門洞粘膜からガストリンを抽出し,化学構造の決定,合成に成功し,Tracyら3)4)は合成で得た多くのpolypeptideから末端のtetrapeptideに活性部分があることを確認した.以来,現在ではこの活性部分を含む各種ガストリン様テトラペプチッドやペンタペプチッドが合成され,これらは生理的胃液分泌機序のうち,胃相の発動を担っている消化管ホルモンであるガストリンに類似し,壁細胞に対する刺激作用がつよく,しかも生理的で,再現性にとみ,ヒスタミンにみられるような強い副作用がない点で胃分泌機能検査の新しい刺激剤として広く使用されるようになった.
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