私の本棚
臨床医のためのアレルギー入門書
野田 金次郎
1
1信大・法医学
pp.525
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204716
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アレルギーなる言葉は医歯薬関係者のみならず現今では一般常識化したものとして繁用されている医学用語の一代表であるが,医師でもこれに対する正しい理解を持たないで何となく使って,しかもそれで何となく安心している場合が案外多いと見聞されるのも,私が抗原抗体反応の一つである血液型学を専攻しているので,その目で視るからばかりではなさそうに思われる.極言すれば,かなり多くの医師がこの言葉を自分の不知のかくれみのとして使っていると言えよう.
アレルギーの根源は抗原抗体反応であるが,そもそもこの反応自体が医師に嫌われ勝ちなものであるらしい.なるほど抗原抗体反応といえぱ抗原があって始めて抗体が判り,抗体があって始めて抗原が判るものであり,一応難解の所もあるが,相対思考に慣れれば,こんな判り易い学問は他にあまりないほどのものである.ただ,検査法が,他の分野のそれに比して非常に簡単であって,しかもその語る所が非常に多いことも難解感を与える因となっていると考えられる.
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