今月の主題 内科最近の話題
糖尿病
糖尿病の血管障害
三木 英司
1
1東大・第3内科
pp.456-457
発行日 1973年4月10日
Published Date 1973/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204689
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インスリンが発見されてから,昨年で50年が経過した.今日の糖尿病の臨床において,血管障害が最も重大な問題であることを運命づけたのは,インスリン注射によって糖尿病患者が長期にわたって生存可能になったことが最も決定的な要因であろう.さらに抗生物質により感染症の危険が少なくなったことも,あずかって力があったと考えられる.欧米においてはつとにこの点が注目されたが,昨年の日本糖尿病学会における死因に関する発表でも,半数以上が血管障害に関連したものであったことを各機関とも報じた.
糖尿病の血管障害の解決を目標とする研究は,極めて基礎的なものから,重症合併症の治療まで,甚だ多岐にわたっている.いくつかの間題は結論に達したものの,重大でありながら解決の得られていない問題があまりに多い.これらのうちから,最近,論議の中心となっている点や.著しい進歩の見られた点を,その背景とともに展望を試みたい.
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