症例
脾腫を認めない慢性骨髄性白血病
前川 正
1
,
佐藤 貞夫
1
,
小野垣 義男
1
,
須田 哲夫
1
,
土屋 純
1
1群大・第2内科
pp.1619-1622
発行日 1972年7月10日
Published Date 1972/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402204396
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慢性骨髄性白血病(CML)は各種成熟段階の骨髄顆粒球系細胞の異常増加をきたす疾患で,白血病細胞の浸潤は全身諸臓器に及ぶ.一般に経過は緩慢でbusulfan等の治療によく反応するが,多くは急性転化により死亡する.特徴的な所見として好中球アルカリフォスファターゼ(L-AIP)活性の減少やPhiladelphia(Ph1)染色体が存在することが指摘されている.臨床的にはほとんどの症例で顕著な脾腫が認められ,CMLの診断上重要な徴候の1つに数えられている.しかし,稀には脾腫をみないこともある.筆者らも全経過中一度も脾腫を証明できなかった症例と,診断時に脾腫を触れず経過観察中脾腫を認めるに至った症例とを経験したので併わせ紹介し,これらの臨床的意義について考察してみたい.
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