病理夜話
乳房(その1)
金子 仁
1,2
1国立東京第一病院病理
2日医大老研
pp.1287
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203785
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外科から出る材料で多いものの代表に乳房腫瘍がある.
通常,同部にシコリがある患者は手術室でその一部または全部を摘出し,病理検査室に送られる.病理では大体10分以内で組織学的に診断し,外科医に報告せねばならぬ.癌の場合は乳房を切断し,同時に腋窩部リンパ節をなるべく多く摘出せねばならぬからである.一方癌でない場合はそのシコリのみ摘出して患者を帰す.外科医は病理医の診断がつくまで待っているのである.従って病理医の責任は極めて重大で,もし病理医が間違えれば,癌でない乳房の全摘を行なってしまったり,癌の患者をシコリのみ摘出して帰し,後になって転移が起こりアタラ生命を失う場合も起こってくるのである.
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