診断のポイント
膀胱癌—見逃がさないために
高井 修道
1
1横市大泌尿器科
pp.572-574
発行日 1971年5月10日
Published Date 1971/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402203603
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
膀胱癌は稀ではない
膀胱癌は泌尿器系悪性腫瘍のうちで最も多くみられ,また最も重要なものの1つである.ところがわが国と欧米における膀胱癌の頻度をみると,欧米のほうが約10倍多くなっている(瀬木ら19571)).最近10年間でわが国でも膀胱癌は多くなったとはいえ,まだ欧米のそれほどではない.この相違の主な理由は診断されないままに,あるいは慢性膀胱炎,腎盂腎炎,腎不全あるいは肺癌などと誤診されたままで死亡統計に入っているためと考えられる.一般医師の膀胱癌に対する認識不足の結果,初期に著明な症状(肉眼的血尿)が出現するにもかかわらず,ほとんど意に留めず,ただ単に止血剤を注射する.このようにして膀胱癌が診断されず,適正な治療を受けずにいることが案外多い.
ここに筆者は1,2の自験例をあげて,膀胱癌は決して稀なものではないこと,診断はきわめて容易で,初期の全治しうる時期に診断ができることを力説したいとおもう.
Copyright © 1971, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.